大手監査法人KPMG、ESGからビットコインを評価するレポートを公開

大手監査法人KPMG、ESGからビットコインを評価するレポートを公開

大手監査法人のKPMGは2日、ビットコインとESG(環境、社会、ガバナンス)の問題に関するレポート「Bitcoin’s role in the ESG imperative」(ESG の責務におけるビットコインの役割)を発表した。レポートの目的は、ビットコイン(BTC)がESGに与える影響を評価するとともに、ビットコインにまつわる誤解を浮き彫りにし、ESGにビットコインを活用する事例を紹介することだとしている。

Environment(環境)では、ビットコインのマイニングが大量のエネルギーを消費しているとの批判について、マイニングに使われる電力は世界全体の約0.55%であり、衣類乾燥機と同程度だと反論。マイニングのCO2排出量は旅行やファッションなど他の産業と比べて小規模であることを取り上げ、「ビットコインの排出量は、しばしば議論されているよりも低いかもしれない」とコメントしている。

その上で、マイニングが再生可能エネルギーの問題を解決すると分析。再生可能エネルギーは発電量が不安定であることから、時間帯によっては需要を上回る発電を行うことになってしまい、需給のミスマッチが生じる。そこで、余剰になった電力をマイニングに割り当てることで、再生可能エネルギーの経済性を向上させるとしている。そして、マイニング施設がどこにでも設置可能であること、電力需給に応じてマイニングをいつでも休止できることも、余剰電力を利用する上での優位性だと主張する。

Social(社会)では、ビットコインが犯罪に使われているとの批判について、ブロックチェーンの取引履歴がすべて公開されていることから、ビットコインで違法行為を行うことは困難であると反論。2022年のChainalysisの報告では、ビットコインを含めた暗号資産の違法・非合法な利用は総取引量の0.24%に過ぎないと指摘している。

さらに、ビットコインが出稼ぎ労働者の送金、ウクライナへの支援、アフリカの小規模電力網、金融包括など社会が抱える課題を解決するために有用であると、具体的な事例を交えて解説している。

Governance(ガバナンス)では、分散化がビットコインの最も顕著な特徴の1つだと指摘。2100万コインの制限、難易度調整、ブロックサイズなどのルールがコードに組み込まれ、ブロックチェーンの記録が容易には改ざんできないことを取り上げ、権力者や不純な動機を持つ者によって乱用できないシステムであるとしている。

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