ビットコイン投信のETF転換をめぐる訴訟、SECの敗訴が確定へ

ビットコイン投信のETF転換をめぐる訴訟、SECの敗訴が確定へ

ビットコイン(BTC)投資信託のETF転換をめぐり、運用会社のGrayscale(グレースケール)と米証券取引委員会(SEC)が争っていた訴訟で、SEC側が13日の期限までに上訴しなかったため、Grayscale側の勝訴が確定する見込みとなった。これは、ビットコイン現物ETFの承認へ向けた大きな進展だと見られている。

Grayscaleは、ビットコイン現物を保有する投資信託「Grayscale Bitcoin Trust(グレースケール・ビットコイン・トラスト/GBTC)」を2013年から運用している。同社は2021年10月、GBTCをETFとして上場できるようSECへ申請。しかし、SECは価格操作を防ぐ仕組みなどが不十分だとして、2022年6月にこの申請を却下。Grayscaleはこの決定を不服として、SECを提訴していた。

今年8月29日の判決では、SECによる申請却下が「恣意的で気まぐれ」だと指摘。既に承認されたビットコイン先物ETFとGBTCが「実質的に類似する」というGrayscaleの主張に同意するとした上で、連邦政府機関は「同じようなケースを同じように扱う」ことが求められていると述べている。そして、SECによる申請の却下を無効とし、Grayscaleの再審査申請を認めるよう命じた。

SECは2021年10月、ビットコインの「先物」取引へ投資するETFを承認したが、ビットコインを直接保有する「現物」ETFの承認は拒んできた。その理由として、ビットコインの現物取引には価格操作を防ぐ仕組みが不十分であるとSECは主張している。

Grayscale側の勝訴となる判決が確定する見込みとなったことで、SECはGrayscaleの再審査申請に応じる必要がある。SECは従来と同一の理由で申請を拒絶することはできないが、別の理由を付けて再び却下することは可能だ。しかし、最大の障壁だった「価格操作」への懸念が取り払われたことで、承認の可能性は高まったと言える。Grayscaleの申請が認められれば、GBTCは米国発のビットコイン現物ETFとして上場されることになる。

ビットコインETFをめぐる動きは用語解説:ビットコインETFも参照。

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